マンション売却時の譲渡所得の取得費になる費用項目一覧表
譲渡所得の内訳書の計算式
譲渡所得=売却金額ー((購入金額ー償却費)+取得費)
売却金額と購入金額は不動産売買契約書に明記されていますし、問題なく譲渡所得の内訳書に記入することが出来ると思います。
償却費はマンションの構造によって償却率が決まっており、居住年数と掛け合わせて計算するのですが・・・
問題は建物の取得費です!
償却費の計算
建物の償却費相当額の計算式
例:鉄筋コンクリート造のマンションを4000万で購入して、3年7ヶ月住んで売却しました。(経過年数は6ヶ月以上で繰り上げ、6ヶ月未満で繰り下げです)
4000万 * 0.9 * 0.015 * 4 = 216万円が償却相当額になると思いますが違います。
マンションの場合建物の価格を計算して、取得費を土地に組み入れることができます。
居住用建物の償却率
マンションの建物価格の算出方法
- 消費税額から建物価格を求める ※建物にしか消費税はかからないため
- 固定資産税から按分して求める
- 建物の標準的な建築価格表から求める
タワーマンションおよび東京のマンションに関しては、土地が狭く建物の価値の方が大きくなるため消費税額や固定資産税から按分すると償却相当額が大きくなります(=償却相当額が大きいほど譲渡利益が出やすくなるため税制上不利です)。
そこで採用すべき建物価格の算出方法は3.建物の標準的な建築価格表になります。
築5年65平米の都内2LDKのマンションであれば5000万〜6000万で、消費税額から算出するとだいたい2500万〜3000万の建物価格になってしまいます。上記の建物の標準的な建築価格表に当てはめて算出すると約1471万円となり、2倍近い償却相当額の差が生まれます。おそらく日本全国を対象にした税制のためこのような抜け道が生まれています。
参考:建物価額の計算表
さらに、税務署で伺ったところ住宅ローンを組むにあたって必要だった印紙代やローン事務手数料、登記費用は建物ではなく土地の価格に参入できるためより税制メリットを受けることができます。
取得費は2種類の計算方法を選べる
- 実費を取得費とする
- 概算法(譲渡金額の5%を取得費にできる)
また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。
ここでいう取得費とはマンション購入価額+取得にかかった費用のことで概算法を利用してメリットがあるケースはほとんどありません。タダ同然で不動産を取得した場合に概算法で取得費5%を設定してもいいよというルールになっています。
取得費にできる費用項目一覧
土地の場合
- 購入代金
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 登録免許税・登記手数料
- 売買契約書印紙代
- 借入金契約書印紙代
- ローン事務手数料
- ローン保証事務手数料
- 抵当権設定の登録免許税・登記手数料
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 土地上の古屋建物代金及び取り壊し費用
- 整地・埋め立て・地盛り・下水道・よう壁工事費等
- 借入金金利(借入日から使用開始までの期間に対応する利息)
- ローン保証料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料)
- 団体信用生命保険料(借入日から使用開始までの期間に対応する保険料)
建物の場合
- 設計変更費用
- 増改築リフォーム費用
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 登録免許税・登記手数料
- 借入金契約書印紙代
- ローン事務手数料
- ローン保証事務手数料
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 売買契約書・建築請負契約書の印紙代
- 抵当権設定の登録免許税・登記手数料
- エアコン・給湯設備等で建物に付属する設備
- 建築費又は購入代金(工事代金・設計料・工事確認申請料など)
- 借入金金利(借入日から使用開始までの期間に対応する利息)
- ローン保証料(借入日から使用開始までの期間に対応する保証料)
- 団体信用生命保険料(借入日から使用開始までの期間に対応する保険料)
リフォーム費やエアコンなどの設備費用が入ります。中古マンションをリフォームして購入した場合取得費に組み入れることができますので譲渡益税を減らすことができます。
取得費にできない費用項目一覧
- 町会費
- 引越し代金
- つなぎローン金利
- つなぎローン事務手数料
- 家電製品・家具・カーテン代等
- 管理準備金・管理費・修繕積立金
- 火災保険料等(家屋・家財・地震)
- インターネット加入料・CATV使用料
- 借入金金利(使用開始日以降の期間に対応する利息)
- ローン保証料(使用開始日以降の期間に対応する保証料)
- 団体信用生命保険料(使用開始日以降の期間に対応する保険料)
結構大きな出費であるローン保証料と団体信用生命保険料が取得費に入らないので注意が必要です。団体信用生命保険は所得控除されないため、数年で売却する気持ちであれば所得控除が適用できる一般の生命保険に切り替えてもいいかもしれません。
まとめ
取得費に組み入れられる費用項目を一度総チェックして、抜けなく無駄な税金を払わなくてもよいようにしたいものですね。
譲渡所得の内訳書に関する確定申告の詳しい書き方はこの記事で紹介しています。